仰げば尊し
こんにちは、山本です。
3月も後半に入り、日も長くなってきました。桜の開花ももうすぐのようですね。
3月は卒業の季節。あちこちで卒業式、卒園式が行われています。
卒業式の合唱といえば今やJpopも含めたくさん歌われていますが、「旅立ちの日に」も定番のひとつになっているのでしょうか。
今や広く歌われているこの歌は、埼玉県の中学校教員によって平成3年につくられた歌なのだそうです。
割と最近ですよね。
自分の卒業式では確か「仰げば尊し」や「大地讃頌」を歌ったような気がします。
卒業式自体は正直あまり覚えていないのですが、高校の卒業の日に担任の先生が話してくれた話はなぜだか強烈に覚えています。
話してくれたのは「仰げば尊し」の歌詞について。担任は国語の先生でした。
「仰げば尊しわが師の恩」ではじまるこの歌。
3番まであるこの歌は、1番2番3番のさいごはすべて同じ歌詞「今こそ別れめ いざさらば」で終わります。
この「別れめ」を「別れ目」だと思っている方も多いのではないでしょうか。
実はこの「別れめ」。「別れの時」というような名詞ではなく、古典で使われる「係り結びの法則」で係助詞の影響により、文末の活用形が変化しているのです。
この場合、係助詞「こそ」により「別れむ」が「別れめ」に変化しています。
「別れめ」の「め」は、意志を表す「む」という古語の助動詞で、この「む」が己然形の「め」に変化しているのです。
係助詞により登場人物の心の焦点が明確になりますが、「こそ」は強調を意味し、「今こそ別れましょう」といった意味になります。
また、「思えばいととし」は「愛しい」ではなく「いと疾し」であり、「今思えば月日がすぎるのは早い」という意味になります。
「別れめ」は「別れ目」ではなく古典の法則での変化だとしか記憶していなかったので、いざ調べてみるととても懐かしい感じがしました。
ご存じの方も多いかもしれませんが、山本よりちょっとした豆知識の紹介でした。
仰げば 尊し わが師の恩
教えの庭にも はや幾年
思えば いと疾し この年月
今こそ 別れめ いざさらば