伝統と挑戦
ニュースレター9月号
最近、キュッキュッという小気味よい音を聞くようになりました。
母が着付けを習っており、これは帯を締める音です。
この「絹鳴り」は、凹凸のある絹の繊維が引っ掛かりあってする音のこと。ナイロンなどの繊維にはない、絹ならではの粋な音です。
帯にもいろいろありますが、やはり福岡人なら一本は持っておきたい博多帯。
博多織は、約770年ほどの歴史があり、古くは江戸幕府への献上品でもあった伝統的工芸品です。
厚みがあり張りのある博多織は帯に適しており、博多は京都の西陣、群馬の桐生と並び帯の三大産地にあげられています。
市営地下鉄博多駅のシンボルマークも博多織ですね。
絹の上品な光沢と、独鈷や華皿などをモチーフにした模様と縞を配した献上柄は格式高く清廉な印象を受けます。
歴史ある博多織ですが、ライフスタイルの変化に伴い、近年では、博多織の生地を使用した雑貨や小物への使用も盛んだそうです。
博多駅や福岡空港のお土産コーナーに置いてあったりしますね。
ネクタイやキーケース、ポーチやアクセサリーなど多岐にわたっているようです。
時宜にかなった変化というのは難しいものですが、伝統を守るだけでなく、古き良き工芸品の未来への挑戦にとてもわくわくします。
絹独特の光沢とすべすべとした手触りはいいですね!
色も落ち着いた日本の伝統色から若い人でも持てるビビッドカラーまでたくさんの種類があって、意欲的な商品開発が活発でいいなと思います。
こてこての伝統的な作品もほしいとは思いますが、生活に根差した身近な存在というのも大切だなと思いました。