こんにちは。営業の永留です。みなさんは2017年に起きた、地面師による巨額詐欺事件をご存じでしょうか?
被害総額はなんと55億5千万円。事件当時は私たち不動産に携わる者は当然のこと、世間を驚かせた大事件でした。しかも被害者は誰もが知る大手不動産会社。時代背景としては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのためのホテル用地不足と、従来からのマンション用地不足が挙げられますが、それ以外の理由としては、何といっても、少子高齢化に伴う空き家・空き地の増加と所有者不明土地の増加があります。その対策として、政府はすでにそのための特別措置法を制定していますが、それらはいずれも地面師対策としては不十分なものです。しかし、2020年4月1日から施行された改正民法560条(権利移転の対抗要件に係る売主の義務)の規定によって、現行の売買代金決済手続が少なくとも登記の受理完了後に行われるようになれば、かなりの被害軽減につながるものと思います。
この事件が起こった一番の要因は一言で言えば確認不足だと言われています。社内では、この案件が「社長案件」と呼ばれ、マンション建設用地を確保したいという強い意欲から承認体制が機能しなかったとされています。当然、社内でも反対意見や他社からの忠告もあったそうですが、この土地が長い間多くの業者が狙っていた有名な土地であったことから、妨害の一種としかとらえなかったそうです。しかしながら、通常不動産取引で出てくる書類確認を通過できていたところが驚きです。
大きくは身分証・印鑑証明・権利書です。これについて犯人は、①偽造した身分証明書を使用する②役所に実印を紛失した旨を届け出て、実印の改印手続を経る。③役所発行の真正な印鑑証明書を取得。④公証役場において、偽造したパスポートや取得した印鑑証明書を使用して、所有者本人であることの認証を受け、公正証書を取得。これらにより売主本人と誤認したという流れです。極めて巧妙な手口を本事件は小説化され、現在、ドラマ化されてNetflixにてリアル素描されているそうです。私もこれから観てみようと思います。気になった方は是非、ご覧下さい。
酷暑日が続いておりますが、今月も暑さに負けずお客様とのご商談に邁進いたします。不動産売却に関するご相談は『永留』までご一報ください。ご連絡お待ちしています。