ホラー小説で涼をとる!
ある休日、ネットで「今話題のネット小説」ということで紹介されていたとある小説。
その小説を原作とした漫画が某大手出版社のアプリで配信されているということで、「面白いのかな?」と興味本位で読んでみました。
通勤中の電車の中や、はては休日一日かけてつい読んでしまったので、紹介してみたいと思います。
「赤い人」をめぐるサバイバルホラー
題名は「カラダ探し」。
最叫&最恐!絶望サバイバルホラーというキャッチコピーの通り、内容は生き残りをかけたサバイバル系のホラーです。
一時期話題となっていたケータイ小説にあたるジャンルです。若年層向けな「恋愛もの」を中心に人気を博したジャンルですが、この作品は恋愛描写も含みつつ、過激なグロ描写もあるホラーを主軸とした作品です。
内容は書籍化された際のあらすじより、
「学校にまつわる赤い人の怪談。「ねえ、明日香…私のカラダを探して」。明日香達は、夜の学校で友人の遙のバラバラにされたカラダ探しをすることに。カラダ をすべて探さないと11月9日は繰り返され、赤い人に殺され続ける。赤い人の正体は?遥はなぜカラダ探しを頼む?ブラックレーベル創刊。激ヤバケータイ小 説第一弾。」
とのこと。
「カラダ探し」から始まり、「カラダ探し 第二夜」「カラダ探し 第三夜」「カラダ探し 最終夜」という感じで全四部作。
ケータイ小説の特徴である「主人公の主観」で物語は進行していきます。
それぞれ600ページほどでボリュームのあるページ数ですが、一ページ当たりの文字数は少なく、余白も多いのでサクサク読み進めることが出来ました。
ハッと息をのんだり、展開に涙したり。
カラダ探しの題名の通り、内容は、6人の高校生たちが宝探しのように学校の中を探索しバラバラになったカラダを探していくのですが、一方で、「赤い人」という全身血で赤く染まった少女から隠れる、もしくは逃げる隠れ鬼、鬼ごっこ的な要素もあり気が抜けません。
全員が死亡すればまた朝から同じ一日が始まり、夜0時からまた夜の学校でカラダ探しが始まります。カラダ探しが終わらない限り、同じ日を繰り返すことになるんです。
「天使がくれたもの」や「恋空」などの作品がブームとなった2007年くらいの頃は「ケータイ小説なんて!」と思っていた私ですが、空いた時間で手軽に読めるケータイ小説はなかなか便利ですね。
国文学系で横書きNG、アンチケータイ小説な私でしたが、形式はそんなに重要じゃないなと思いました。
それぞれの世界
作品の主人公たちは高校生。
物語の舞台は学校なのですが、「工業棟」や「生産棟」など私の学校にはない校舎が出てくる割に、頭の中では自分の通った中学校や高校の校舎が思い浮かびました。
校舎の間取りなんかを考えずザクザク読み進めたからかもしれませんが、イメージする「学校」といっても読む人によって変わってくるのかもしれません。
最近ではCGを使ったリアルな映像、映画やテレビ番組も、ゲームにしても漫画にしても、現実にありえそうな「リアル」を追求する傾向にあるようですが、小説の面白さは、描写から自分の頭の中で世界を構築することだと思います。いわゆる想像力です。
この小説にはかなりグロテスクな描写もたくさん出てきましたが、考えなければ文字の並びにすぎません。怖くない♪
それでも思い起こさせるような描写だから、こんなに人気が出るのかもしれませんが…。
えぇ、夜中は自分の通るところは全部電気をつけていきましたとも!
自分が学生の時に読んだんじゃなくて本当に良かったです。
一人称で進行していくので、主人公に感情移入してしまうとともに他のメンバーの動きや考えも想像しながら読むことが出来ました。
鬼ごっこやケイドロ、かくれんぼなどで逃げる時のあの緊張感、背筋がざわつくような感覚は苦手なので、主人公と一緒にドキドキしてしまいます。
描写も「肌にナイフを当てているような」「冷たくなでるような」など、恐怖に対して「そんな感覚あるある!」と的確です。
危険から逃げる、恐怖を覚えるというのは生き物の本能だと思うので、そうした感覚に訴えかける描写は本当に共感できました。
小説を読み終えた感想も、思い描く世界も人それぞれだと思いますが、それぞれの世界に別の世界を訴えかけるクリエイターさんはすごいなぁと思います。
漫画で手軽に
無料配信で漫画もあるということだったので、せっかくだから漫画版も読んでみました。
まだ作品としては前半も前半ですが、見なければよかったです?(^o^)/
頭の中で考えずにスルーしていた部分も丁寧に描写され、怖さが一段とUPしていました。
夏と言えば怪談!
省エネでいろいろな涼を取る方法が注目されていますが、今年はホラーで涼んでみるのもありかもしれません(*_*)!