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ニュースレター6月号より

【あぢさゐ】

雨の季節がやってきましたね。この時期の風物詩と言えば紫陽花(あじさい)を思い浮かべるかたも多いのではないでしょうか。

日本では1000年以上前からあじさいが人々の目を楽しませてきました。

『言問はぬ 木すらあぢさゐ 諸弟(もろと)らが 練りのむらとに あざむかれけり(大伴家持)』

物言わぬ木ですらあじさいのように色鮮やかに見せてくれます。それ以上に言葉をあやつる諸弟たちの上手い言葉にすっかりだまされてしまったことですよ、という意味のこちらの句。

万葉集に載っている句ですが「あじさいの色の移ろい」を題材にしたものだと言われています。

あじさいが土壌によって色を変えるというのは有名ですが、日本原産のガクアジサイはその影響を受けやすく雨ざらしにしておくと段々と赤から青へと色が変化してしまいます。

なので、この和歌の中では騙す・不誠実といった意味合いで詠われているようです。

しかし、刻々と色を変えていくその姿もあじさいの魅力のひとつ。

雨の中でも綺麗に咲くあじさいの強さと淡い色合いの儚さは人々の心を癒してくれる存在だったことでしょう。

 

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