巡るということ
佐賀県鳥栖市のオーナー様から初めてのお電話を頂いた1週間後、たまたま目にした新聞に、こんな広告がありました。
タイトル:『 同じ道を ふたりで 』
まだ早過ぎると、反対した。
若いからと、妻もはじめは心配した。
「でも、私たちも、そうだったじゃない。
もっともっと、反対されたじゃない」
1985年.
入社2年目、基本給は15万8千円。
結婚準備に探した部屋は、家賃7万円。
共働きは、いまより少ない時代だった。
まだ「寿退社」という言葉があった時代。
「お母さんの姿を見てきたから。
それにもう、働きつづけることは普通よ」
そういう娘の気丈さは、妻とよく似ていた。
私とは違って、優しい新郎と。がんばれ。
さみしくなるけれどね。
ふたりきりで帰る、今夜からは。
家に帰れば、・・・・・
幸か不幸か、私にも娘がいます。そう遠くない将来、私にこんな場面が巡ってきたとき、娘に、同じような『がんばれ』の一言が言えるのか、正直、自信がありません。
今回依頼を頂いたその家は、正しく、その広告主が建てたものです。この家が、これからどんなストーリーを展開していくのか、ほんの短期間とはいえ、そのワンエピソードの脇役にでもなれればと思います。