助手席
私には、このような文章は決して書けません。だからなのか、この広告の事が印象に残り、ここ数日、頭から離れません。
春は助手席に乗って
この季節になると思い出す。
はじめて、ドライブに誘われたとき。
はじめて、父以外のクルマの助手席に乗って。
免許取りたて、なんでしょ。
くれぐれも、安全運転でお願いします。
どきどきしたのは、そればかりじゃない。
カセットのカーステレオから流れる音楽が
ぜんぶ、ロマンチックなラブソングばかりで。
若葉マークのデートは、安全に終わった。
「家に寄る?」と聞いたら、首を横に振った。
両親が2階の窓から、こちらを見ていた。
あの頃はまだ、予想もしなかったな。
結婚して、仕事を続け、運転もする私を。
あの時のあなたを、助手席に乗せて。
このストーリーを読み、私は、2階の窓から、車の様子を見下ろしているかもしれない、そんな未来の自分を勝手に想像しています。これが、歳を重ねていく、ということなのでしょうか。
娘よ、焦らず急がず、ゆっくりと、大人の女性になっておくれよ。